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2018-09-23

2018

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GALLERY wks.(OSAKA) 16.July-28.July 2018

「虚虚実実の遊戯」会場写真
GALLERY wks.(OSAKA) 2018年

Paintings

Japanese / English

展覧会概要

下記内容で2018年7月16日(月)~7月28日(土)に開催いたしました展覧会「虚虚実実の遊戯」は、終了いたしました。
ご高覧いただいた皆様、誠にありがとうございました。

Cherry Note No.12 (Triplet) 162.0×194.0cm
oil and alkyd on camvas  2018年

日程:2018年7月16日(月)~7月28日(土)
時間:12:00-19:00 日曜定休日
場所:GALLERY wks.
〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-26 中之島ロイヤルハイツ1103
TEL / 06-6363-2206

虚虚実実

「芸というものは実と虚との皮膜の間にあるもの也。
虚にして虚にあらず実にして実にあらず、この間に慰が有るもの也」
近松門左衛門「虚実皮膜論」
出典:穂積以貫(ほづみいかん)の聞書による「難波土産(なにわみやげ)」

「虚虚実実」の意味

  • 1.互いに策略や手段を尽くして戦うこと。また、うそとまことを取り混ぜて、相手の腹を読み合うことにもいう。「虚」は守りの弱いところ、「実」は守りの堅いところ。実を避け虚をついて戦う意。
  • 2.「虚」「実」のそれぞれを重ねて、意味を強調した語。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

「虚虚実実の遊戯」

絵画や小説家、音楽家など、ものづくりに携わる人々ほとんどにおいて共通することだが、作者は虚構の世界を構築する時に、虚構をどのように捉えているのか、また虚構の表現においてどのような独自のアイデアを携えて挑むのか、を考えることがその作者にユニークな視座を与えることになると思う。私は単純に絵を描くのではなく、絵画表現には、虚構に対する自分なりの考えを示さなければならない、それがアートの世界へのフィードバックつまり「問いかけ」でなければならない、と考えてきた。虚構の中にリアリティーを紡ぎ出していく行為は、絵画においては簡単にはなし得ないことで、それはまさに私自身のアイデアと現代美術のコンテキストをいろんな手段を尽くして戦わせること、つまり「虚虚実実の遊戯」であると思う。

学生時代、私は風景から抽象性を抜き取っていくという絵画を制作していた。私の絵は画面の枠をかなり意識したもので、構図は水平垂直をもとに組み立てられていた。ある時にそのようなモダニズムの画面の束縛から解放されたいと思い、またもっと流動的な画面作りをするために、直線的な組み立てを捨てて、有機的なモチーフを描くようになった。1991年に描いた「ミッキー・胚芽」はそういう意味で、それまでの作品とは異なる作品だったと思う。この時に描いた有機的なフォルムは、のちにフォルム自体が重さを持ってしまうことに私自身、どういう扱いをしたら良いのかわからなくなることがあった。フォルムを描きたいのだが、それをまた消したいという矛盾した欲求が同時に湧いてきた。

Double Ridge

Analogy of Shells and Ears by Double Ridge
oil on canvas 72.7×100.0cm 2017年

フォルムを描きたいけれども、その量感に縛られたくない。それではフォルムの輪郭だけを抜き出して描いてみたらどうだろうか。制作、発表からずいぶん長い間離れていた私だが、まずここから再考することにした。はじめにアウトラインをとり、時にはそのアウトラインのアウトラインをとってみた。その結果、木星の衛星エウロパの地表面にあるような二重の稜線ができたので、それをDouble Ridge(二重稜)と呼ぶことにした。Double Ridgeのおかげで有機的なフォルムは、もともと持っていた量感から解放されて、実体感が曖昧になった。それを見ると何か不思議な感覚が生まれた。「二重稜による貝と耳のアナロジー」はそうして生まれた最初の作品だ。

 

On the Corners

On the Four Corners (Day)
oil on canvas 128.7×128.7cm 2017年

本来は画面の中心に置かれるべき主体のモチーフを分割して画面の脇に配置したらどうなるだろうか。「分割」と「主客を逆転させる」という発想をもとにした作品。(ちなみに画面を45度傾けた作品は学生時代にも制作している。)

Cherry Note

Cherry Note No.1 (Doublet)
oil on canvas  80.3×80.3cm 2017年

さくらんぼと音符を合体させてみた。
実体ではないアウトラインのほうにストーンパウダー(石粉)を混ぜ込み、ウエイトをもたせて虚と実を逆転させるような表現を試みている。

実体ではないアウトラインを実体のように扱う、また主客を逆転させてみるなど私の絵画制作には、ネガとポジを反転させたい、または虚と実を自由に往来したいという潜在的欲求に基づくアイデアがあることから、最初に述べたことと二重の意味をこめて再出発となるこの作品展のタイトルを「虚虚実実の遊戯」とした。

竹下理恵

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